日本酒の作り方は?他の醸造酒との発酵方法の違いや製造工程を解説

日本酒の作り方は?他の醸造酒との発酵方法の違いや製造工程を解説

日本酒は日本が誇るお酒で、海外でも人気があります。お酒としてはワインやビールなどと同じ醸造酒に分類されますが、他の醸造酒とは異なる発酵方法が用いられています。そのため、日本酒はどのように作られているのか、気になる方も多いでしょう。ここでは、日本酒の作り方や他の醸造酒との発酵方法の違いを解説します。

日本酒は他の醸造酒と発酵方法が異なる

醸造酒は、糖分を発酵させてアルコールを作りますが、お酒の種類によって発酵方法が異なります。

日本酒は並行複発酵

日本酒は、並行複発酵という発酵方法です。日本酒の原料のお米に糖分は含まれないため、麹の酵素でお米のデンプンを糖化させ、アルコール発酵を行います。糖化とアルコール発酵を1つの樽で行うという高度な醸造方法です。そのため、アルコール度数の高い醸造酒が作れます。

ビールは単行複発酵

ビールは、単行複発酵という発酵方法です。ビールの原料である大麦には糖分が含まれないため、麦芽で大麦を糖化してアルコール発酵を行います。ビールは、糖化とアルコール発酵を別のタンクで行います。

ワインは単発酵

ワインは、単発酵という発酵方法です。ワインの原料であるブドウに糖分が含まれるため、糖化の必要はありません。ブドウの糖分で、アルコール発酵が進んでいきます。

日本酒の作り方

日本酒の製造工程は、以下の手順で行われます。

精米

日本酒の作り方で、最初の工程は精米です。玄米の外側の茶色い部分を削り、白米にします。ビタミンやたんぱく質など、玄米の外側の成分が多く残っていると味が劣化するため、食用の白米よりも多く削らなければなりません。削った割合は精米歩合として表記されており、精米歩合60%のものは、お米の表面が40%削られているという意味です。精米歩合は、日本酒の種類によって異なります。

洗米と浸漬

精米後は、表面に付着した糠を洗い流すための洗米作業です。洗米中にお米同士が擦れ削られるため、二次精米の役割も果たします。洗米後は、お米に水を吸わせる浸漬が行われます。吸水速度は精米歩合によって異なるほか、気温や湿度も関係するため適切な管理が必要です。

蒸米

吸水させたお米を蒸し、外側は硬く内側が柔らかい状態にします。蒸米によりデンプンが変性するため、麹菌の酵素が作用しやすくする目的です。蒸米後は冷まし、麹や酒母、醪(もろみ)として用いられます。

製麴(せいぎく)

蒸米したものから、酒造用の麹が造られます。製麴は、日本酒造りにおいて最も重要な工程の1つです。蒸米に麹菌をふりかけ、40度前後に管理された高温体質の部屋で、2日間じっくり菌糸を繁殖させていきます。

酒母(しゅぼ)

酒母は、酵母を大量に培養させるためのもので、日本酒造りで重要な工程です。蒸米に、麹や酵母、乳酸菌などを加えて造られます。酒母は昔ながらの生酛系酒母という製法と、最初から乳酸菌を投入する速醸系酒母の2種類があり、近年は速醸系酒母が主流です。

醪造り(もろみづくり)

醪造りは、蒸米と麹、水を発酵させる工程で、原料を3度に分けて入れる三段仕込みという手法で行われます。仕込みの後は、温度管理を行いながら1ヶ月ほど発酵させます。

上槽(じょうそう)

醪の発酵が完了した後、圧搾機にかけ絞り日本酒と酒粕に分ける工程が上槽です。通常は、自動圧搾機に醪を入れて絞りますが、大吟醸酒など繊細な味わいのものは袋吊りという昔ながらの方法で絞ります。

ろ過と火入れ

上槽後、日本酒に含まれる小さい固形物を取り除くための作業がろ過です。ろ過後は、火入れを行います。火入れは、微生物を殺菌するほか、酵素の動きを止めて風味を落ち着かせ、保存性を高める目的で行われる工程です。ろ過をしないお酒は、生酒や生貯蔵酒と呼ばれています。

貯蔵

火入れした日本酒は、一定期間樽で貯蔵されるのが一般的です。貯蔵期間が長いほど、深みやうま味が増していきます。貯蔵環境により、酒質が大きく変わるため、温度管理が重要です。銘柄によって、適した貯蔵環境があります。生酒は、冷蔵室や冷凍室で貯蔵されることもあります。

調合と割水(わりみず)

貯蔵した日本酒の成分や味わいに合わせ、複数の樽のお酒をブレンドする工程が調合です。また、水を加えてアルコール度の調整を行う割水も行われます。同じ原料・工程で作っても、樽ごとに少しずつ味が異なります。そのため、調合・割水をして目指す酒質に仕上げるのです。

容器詰め

日本酒の製造工程の最後が、容器詰めです。容器詰めの前に2回目の火入れを行い、熱い状態のまま瓶に詰めます。容器に詰めた後すぐに冷やすことで、品質劣化が防げます。

まとめ

日本酒の作り方を見ると、時間をかけて丁寧に製造されていることがわかります。日本酒の製造過程を知ることで、どのようにお酒のうま味や風味が熟成されていくのか理解できます。日本酒をより楽しめるようになるでしょう。

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